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SAMSは、誰にでも簡単に知識が習得できるものではない。専門業務であり、日々の地道な努力も必要なのである。しかし、この業務に対するマネジメントの理解は、残念ながら非常に低いのが現状だ。それは、ソフトウェア資産管理というものに対する意識が低いのではなく、その難しさを理解していないからである。
繰り返しになるが、SAMSの構築には、
不動産投資の理解は必須だ。経営者の方々は、SAMSは、高度な専門知識を持ったプロが行わなければならない仕事の1つであり、その負荷も非常に高いものだという認識を持ち、今一度、自社で行われている「はず」のそれを改めて見直してほしい。
では次回からは、ソフトウェア資産管理コンソーシアムのソフトウェア資産管理基準に沿って、具体的にSAMを構築していこう。
ソフトウェア資産管理に関するさまざまな相談や質問は、エンドユーザー(以下、使用者)のみならず、ソフトウェアベンダー(以下、権利者)、やソフトウェア資産管理ツールベンダー(以下、ベンダー)などから寄せられている。ベンダーからの問い合わせが増えているのは、エンドユーザーのソフトウェア資産管理ニーズの高まりにほかならないが、なぜ、使用者や権利者は、最近になって特に、ソフトウェア資産管理への関心が強くなっているのだろうか?
そこでまず、なぜ「ソフトウェア資産管理(以下、SAM:SoftwareAssetManagement)」がクローズアップされているのかについて解説しよう。
使用者、権利者を取り巻く環境の変化
なぜ、SAMがクローズアップされているのかをそれぞれの
社会保険労務士試験で見てみよう。まず、使用者である。使用者側では、エンドユーザーを取り巻くさまざまな法整備、ならびに新制度の導入が行われたことが、最大の原因である。
法律時期概要
著作権法の改定2005年1月著作権法違反に対する罰則強化
(罰金上限1億円→1億5,000万円)
個人情報保護法2005年4月個人情報の取り扱いに関する、規制・監視の強化
公益通報者保護法2006年4月企業の不祥事に対する通報体制の確立
会社法2006年5月内部統制体制の構築義務(罰則規定はなし)
金融商品取引法(日本版SOX法)2008年4月以降の事業年度から上場企業ならびにその重要な取引先に対する内部統制体制確立の義務化(罰則規定あり)
さらに、上述した法律を
債務整理するように、PマークやISMS(ISO27000)が制定され、認証制度となった。また、日本版SOX法で要求される内部統制のためのIT全般統制、IT業務処理統制に呼応するように、ITSM(ISO20000)も認証制度として制定される予定である(※現在、JIPDEC(日本情報処理開発協会)によるパイロット運用中)。
2006年5月には、SAM自体もISO化された。これは、ISO/IEC19770-1と呼ばれるSAMに関する管理方法を、ISO20000を参考に規格化したものである。現在は、使用者の管理業務を容易にするために、ソフトウェアの識別子をすべてのインストールソフトウェアに持たせる(タグ化)ことを権利者に促す、ISO/IEC19770-2の策定作業をおこなっている。
このように、コンプライアンスやセキュリティに対する要求は、年々高くなっており、使用者にとり、的確なAccountability(=説明責任)を果たす
自動車保険が、これまで以上に重いものになっている。コンプライアンス違反やセキュリティ事故が発生しにくい体制、発生した場合でも、それが的確に把握できる体制を構築しなければならないのである。
この中でSAMは、著作権に関するコンプライアンス違反の抑止だけでなく、不正なソフトウェア(Winnyなどのファイル共有ソフトなど)の利用によるセキュリティ事故の抑止にもつながるものであり、そのマネジメントシステム化が、IT統制上の重要課題の1つと位置づけられた結果、関心が高まってきているのであろう。
では次に、権利者側を見てみよう。
BSA(BusinessSoftwareAlliance。世界80カ国を超える国々で、ビジネスソフトウェアの権利保護支援等を行っている)によれば、2005年の日本における違法コピー率は28%、損害額は約1,800億円にのぼるという。損害額ベースで見ると、世界第7位にある(下表「違法コピー率ランキング」参照)。つまり、ソフトウェアを提供している権利者からすれば、日本は、大きな「販売機会損失国」の1つにあたるわけである。
違法コピー率ランキング
単位:百万ドル
高違法コピー率上位10ヶ国低違法コピー率上位10ヶ国高違法コピー損害額上位10ヶ国
ベトナム90%米国21%米国$6,895
ジンバブエ90%ニュージーランド23%中国$3,884
インドネシア87%オーストラリア26%フランス$3,191
中国86%フィンランド26%ドイツ$1,920
パキスタン86%デンマーク27%イギリス$1,802
カザフスタン85%ドイツ27%ロシア$1,625
ウクライナ85%スウェーデン27%日本$1,621
カメルーン84%スイス27%イタリア$1,564
ロシア83%イギリス27%カナダ$779
ボリビア83%日本28%ブラジル$766
Source:BSA,2006
権利者が、この販売機会損失額を減じるためには、使用者の著作権に対する意識の向上を図ることと、使用者が受け入れやすい(分かりやすい)ライセンス体系を築くことが必要である。現在、権利者は、上述した「使用者の著作権に対する意識向上」を図る絶好の機会であると捉え、単に、不正使用者の摘発をするのではなく、使用者に対する啓蒙活動を活発化させている。
このように使用者側、権利者側それぞれが別の指向性を持って、SAMを積極的に推進しているのである。
次に、理想的なSAMシステム(SAMS)とはどのようなものかを見てみよう。少し乱暴だが、先に述べたISO/IEC19770-1ならびに、ソフトウェア資産管理コンソーシアム、コンピュータソフトウェア著作権協会の要求事項を簡単にまとめてしまうと、以下のような状況が実現できていれば、SAMがマネジメントシステムとして機能しているといえる。